26巻 【JCリスト】 【WJ本誌での作者コメント】 【Amazon】 |
26-1「怪盗集合の巻」
ニコニコ寮にやって来た
害虫駆除業者を名乗る男は、薬品散布の間に盗みを働く泥棒だった。男は、一人だけ寮の中に残っていた両さんを泥棒仲間と勘違い。これを利用して泥棒達を一網打尽にしようと画策する両さんだが…。
《扉絵:ニコニコ寮(本編に直結)》
26-2「書は人なりの巻」
字が下手な上、漢字もまるで知らない両さん。何とかしようと考えた大原部長に、書道塾に通わされる事になった。失敗を繰り返しながらも奮闘する両さんだったが、そんな中、塾生の一人が誘拐されてしまう!
《扉絵:派出所内(本編に直結)》
26-3「両津式貯蓄法!?の巻」
1800万円の馬を買うため、必死に生活をきりつめて金を貯めようとする両さん。だが、無茶苦茶な論理の貯蓄計画で、すぐに行き詰まってしまい…。
・冒頭、ガリガリになった両さんに中川君が言う「またギネスに挑戦ですか?」は、13-4の事を指していると思われます。
《扉絵:タバコをふかす両さん》
26-4「クレイジーホースの巻」
(前話より続き)両さんが19000円で購入した馬は、反抗的な上、走っても人間より遅いダメ馬だった。懸命に世話をしていた両さんも、結局サジを投げてしまうが…。
《扉絵:銃を構える両さん(&派出所)》
26-5「惑惑中年!?の巻」
金銭感覚の無さから、部長にカミナリを落とされた両さん。反省の色なく、今日も競馬場へ。だが、そこには(兄に頼まれて)馬券を買いに来ていた部長の姿が!
後ろめたさを感じている部長に、早速つけこんだ両さんは…。
《扉絵:海辺の風景》
26-6「ガンコ電車の巻」
両さんは、子どもが生まれた同僚・轟の所へ、出産祝いを持って訪ねて行く。風邪をひいて仕事を休んでいた轟だったが、「少しは日を浴びた方がいい」と両さんから強引に煽られ、一緒に外へ。やがて彼は、幼い頃からの憧れ・都電の思い出を語り出す。
・このエピソードが執筆された1981年当時 すでにノスタルジックな存在だった都電(路面電車)荒川線ですが、21世紀の現在も変わらず走り続けています(※2010年現在)。2006年夏には、こち亀30周年を記念したラッピング車両「両さん電車」が走ったりもしました。
《扉絵:都電荒川線・三ノ輪橋駅》
26-7「CC(シーシー)ライダーの巻」
両さんたち派出所メンバーは、夏休みをとって海へ。本田は、飼い猫のクラッチも一緒だ。楽しく泳いでいた一同だったが、突然外車で砂浜に乗り付けたヤクザの組長が…。
・名物キャラ・御所河原組長と御所河原組の面々が初登場。
・冒頭では、本田君の飼い猫・クラッチとの出会いが描かれていますが、彼(?)が登場するのは このエピソードのみです。
・本田君が泳げない事が判明。中川君や麗子さんといい、こち亀初期のサブキャラは泳げない人が多いですね。
《扉絵:暴走車を追う本田(本編に直結)》
26-8「スペシャル税!?の巻」
給料日より一日早く、経理課から給料を(むりやり)もらってきた両さん。ニコニコ顔でお札を愛でていたが、そこへ税務署からのハガキが。給料から税金が引かれている事を初めて知った両さんは、頭に血が上って税務署へと怒鳴り込む。
《扉絵:街を走る ごきげん両さん(本編に直結)》
26-9「両さんの留学!?の巻」
ニューヨーク市警から招聘を受け、なんと両さんがアメリカ研修へ行く事に。外国旅行の経験も知識も皆無の両さんに、部長達は悪戦苦闘しながら予習をさせるが…。
・このエピソードから27-5までは、7話連続(!)のアメリカ編。次の26-10で連載が250回を迎えるにあたっての記念企画です。
・両さんを気に入ってアメリカへ招いたのは、18-10に登場した新聞記者・ジョージ・リアフェンダー氏。こういう再登場は、ファンにとっても嬉しいですね。
・的確に両さんを助け、アドバイスをする麗子さんの存在が際立っています。
《扉絵:おのぼり両さん》
26-10「摩天楼の巻」
(前話より続き)アメリカへ上陸し、ジョージと再会した両さん。だが、案内役の警官・デビッドは強い反日感情を持ち、両さんへの嫌悪をあらわにする。
・連載250回目のエピソードとして、アメリカ編の本格スタートです。
《扉絵:アメリカンポリス風 両さん(見開き)》
27巻 【JCリスト】 【WJ本誌での作者コメント】 【Amazon】 |
27-1「アメリカよいとこ!?の巻」
(前話より続き)両さんを見下した態度をとり続けるデビッド。しかし、両さんの人情味とパワフルな活躍とを目の当たりにし、次第に偏見を改めて行く。
・ラスト近くで、両さんを送って行く役目を自ら申し出るデビッド。人同士の溝が埋まってゆく様は、見ていてホッとしますね。
・4ページ目(コミックス8ページ)の、ハーレム及び黒人に関する会話は、差別的と取られる可能性に配慮してか、現在の版ではセリフが改められています。
【修整前】
「昔は高級アパートだったのですが黒人が住みつき だんだんうすよごれて今は廃きょのようです」
「黒人ってシャネルズみたいな顔したやつか?」
「なんです シャネルズって…?」
「しらんのかよ 顔にスミぬってうたう連中だよ」「らーんなうえ〜〜」
【修整後】
「昔は高級アパートだったのですが 月日とともにその面影も消えてしまって…」
「猿の惑星に出てきたやつ 早く見たいな!」
「なんです それ?」
「自由の女神だよ! 知らんのか!」「こんなふうに立ってて…」
両さんがふざけて 右手を上げ歌う姿が、「自由の女神のポーズ」と改められたのは、うまい改変と言えなくもない…かも知れません(苦笑)。
《扉絵:両さん・デビッド・加藤を乗せて街を走るパトカー(見開き・本編に直結)》
27-2「シスコみやげの巻」
(前話より続き)デビッドの車に送られて、サンフランシスコへやって来た両さん。ロス市警の警官に連れられて行った街で部長達へのお土産を買うが、ふとした隙に
泥棒に荷物を盗まれてしまう!
《扉絵:両さんとデビッドの元へやって来たチャーリー(見開き・本編に直結)》
27-3「CHP(カリフォルニアハイウエイパトロール)の巻」
(前話より続き)CHP(カリフォルニアハイウェイパトロール)が強盗犯人を逮捕する現場に遭遇した両さん。そのワイルドさに驚くが、一番のガンテクニックを見せた隊員は
なんと女性だった。
・後に本田君二度目の失恋相手となる、サンディが初登場。
・4ページ目(コミックスP48)に描かれたハイウェイの看板で、所ジョージ氏がアルバムの宣伝をしています(おそらく本人の直筆)。当時 所さんと秋本先生はモデルガン仲間として交流があったそうなので、スタジオに遊びに来られてたのでしょうね。
《扉絵:街を走るパトカー達(本編に直結)》
27-4「グッバイアメリカ!の巻」
(前話より続き)明日帰国する両さんとの名残りを惜しんで、サンディ達が送別会を開く。豪放な警官・マックスと両さんは意気投合し、銃の腕比べをする事に。
《扉絵:射撃訓練を行うサンディ達(本編に直結)》
27-5「両さん帰国す!の巻」
(前話より続き)ストレスの無い 穏やかな毎日を送っていた部長の元に、両さん帰国の知らせ。お偉方への土産を買って来なかった両さんのフォローに走り回らされ、再び騒がしい日々が…。
・両さん、27-2で買ったお土産(帽子)は、ロス署の仲間達にあげてしまったそうです(笑)。
《扉絵:派出所前(本編に直結)》
27-6「ストップ!!ヘアくん!の巻」
派出所を訪れたセールスマンから、強力育毛トニックを買った両さん。部長に高く売り付けようと考えたが、試しに自分で使ってみると…とんでもない利き目で、髪の伸びが止まらない!
・24-6で登場した不幸な理髪師・高中が再登場(名前は今話で判明)。
・サブタイトルは、当時の少年ジャンプで連載中だった漫画「ストップ!!ひばりくん!」(江口寿史作)から。
《扉絵:世界の軍用ライフルシリーズ1》
・扉絵で、秋本先生の趣味を反映した(?)「世界の軍用ライフルシリーズ」がスタート(28-4まで)。第一回はフランス製ライフルFA・MASの解説の上に、愛銃ニューナンブを持った両さんが。
27-7「スーパー老巡査!の巻」
日本でただ一人の“名誉警視監”佃が、憧れていた派出所勤務を実現するため、特別嘱託として公園前派出所へ。おおらかな性格で両さんにも理解を示す佃警視監を、大原部長は心配するが…。
《扉絵:世界の軍用ライフルシリーズ2》
・「世界の軍用ライフルシリーズ」第二回は、イスラエル製・ガリルARMの解説。共に描かれているのは44マグナムを持った中川君です。
27-8「てなもんや一本釣り!?の巻」
(前話より続き)水元公園で、佃警視監と一緒に釣りをしていた両さん。なかなか釣れず、イライラして投げ出してしまう。公園内をぶらついている内、交通課の警官・児雷也と出会い…。
《扉絵:世界の軍用ライフルシリーズ3》
・「世界の軍用ライフルシリーズ」第三回は、アメリカ製軍用ライフル・M16A1の解説と、イタリア・ベレッタ社の拳銃M71(かなりマイナーな銃だそうです)を持つ麗子さん。
27-9「暴走タックルの巻」
暴走族を更正させるため、教育映画を見せるなど知恵をしぼる交通課長。有り余る力をスポーツに向けさせようと、両さんにラグビーのコーチを依頼する。
・11-9に始まる、変則コマ割りシリーズ。2ページを1ページ分として使い、大画面で見せています。61-8と丁度逆ですね。
《扉絵:葛飾署(本編に直結)》
27-10「友情プレイの巻」
(前話より続き)暴走族の少年達に暴力ラグビーをさせたとして、謹慎処分になってしまった両さん。今度はプロチームを目指してやろうと、少年達と共に奮闘するが…。
《扉絵:両さん&部長とバイク(SUZUKI RE-5)》
28巻 【JCリスト】 【WJ本誌での作者コメント】 【Amazon】 |
28-1「わが青春の桜田門の巻」
大原部長へのクリスマスプレゼントを計画する中川達。雪の降りそうな寒い日、自分の初登庁当時を思い返してノスタルジーに浸る部長の姿に、両さんが思い付いたプレゼントは、なんと…。
《扉絵:世界の軍用ライフルシリーズ4》
・「世界の軍用ライフルシリーズ」第四回は、西ドイツ製・HK93の解説と、愛銃・モーゼルミリタリーM712を持つ星逃田。
28-2「新雪之城変化!?の巻」
派出所に新しく卒配された巡査・島雪之城は、見た目も行動も軽薄&非常識な男。少女マンガタッチの恋人・キャサリンと共に、両さん達のペースを乱しまくる。
・一部に根強いファンがいるらしい(?)島雪之城の初登場編。
・冒頭では、1-1(1コマ目)に登場した男性がチラッと登場。他にフータロー・放火魔の学生(3-1)・チャーリー小林といった懐かしのキャラ(当時)の事がセリフ中で語られています。
・欄外の「注」が異常に多いのは何か理由があるのでしょうか…実験的ギャグの一つ?
《扉絵:世界の軍用ライフルシリーズ5》
・「世界の軍用ライフルシリーズ」第五回は、ベルギー製FN・FALの解説と、日本陸軍94式拳銃を持った大原部長。
28-3「アンコール雪之城の巻」
(前話より続き)相変わらず滅茶苦茶ぶりを発揮する雪之城。大原部長も、問題児の増加に頭を抱えてしまう。問題児は問題児同士とばかりに、両さんと二人でパトロールに行かせるが…。
・両さんがボーナス60万円をはたいて業務用ゲーム機(テーブル型)を購入。ゲームは「ドンキーコング」…時代を感じます。
・「将棋とか(中略)元は娯楽で今じゃプロもいるだろう!」と語り、TVゲームのプロを目指すと豪語する両さん(中川君は唖然)。当時(1981年)は想像もつかなかったプロゲーマーという職業ですが、今は実際に存在しています。両さんの読みも意外と鋭い?
《扉絵:世界の軍用ライフルシリーズ6》
・「世界の軍用ライフルシリーズ」第六回は、スイス製SIG SG530-1の解説と、世界唯一のオートマチックリボルバー・ウェブリー&フォスベリーを持った本田君(「カメダス」では、本田君が持っているのはイギリスの軍用銃リー・エンフィールドとされていましたが、誤りのようです)。
28-4「出会いはドラマ!?の巻」
両さんの身を固めさせようと、大量の見合い写真を持ってきた大原部長。だが当の両さんは全く その気がなく、しびれを切らした部長に
無理やり結婚相談所へと連れて行かれる。コンピューターが選んだ
両さんの相手は…。
《扉絵:世界の軍用ライフルシリーズ7》
・「世界の軍用ライフルシリーズ」ラストの第七回は、日本の64式小銃解説と、両さんにライフル(スペイン・セトメ社のセトメLC)をつきつける作者・秋本先生。なお、27-8・28-1・28-3・28-4の銃解説には、T.Tさんの御協力を頂きました。有難うございます。
28-5「独裁者!の巻」
東京都を武力で掌握する“武装警察”の総統・両津。かつての上司である部下・大原の声にも耳を貸さず
独裁者への道を進み続けるが、やがてゲリラによる内乱が…!
・こち亀の基盤が“平和”であると改めて認識できる話ですね。現代(21世紀)の情勢を頭に置いて読むと、けっこう考えさせられたりも…。
《扉絵:両津総統》
28-6「両さんの商才!?の巻」
同僚・又崎の部屋にあったプラモとレコードを持って、神社の境内でテキ屋を始めた両さん。品物は飛ぶように売れ ホクホク顔だったが、そこへ正月警邏の部長達が…。
・久々登場の、両さんの同僚・又崎(以前は股崎と表記)。冒頭では、インスタントラーメンのウンチクを語ってくれています。
《扉絵:自室で眠る両さん(本編に直結)》
・両さんの部屋を俯瞰で見た構図の扉絵は、四年前のエピソード・9-9と同コンセプト。見比べて楽しめるようになっています。
28-7「安全走行・石頭鉄岩!の巻」
本田の過激な取り締まりに頭を痛めた交通課長は、「走る交通法規」こと安全指導教官の石頭鉄岩(いしず・てつお)を呼び寄せた。だが、交通安全にこだわる余り
かえって非常識な取り締まりをする石頭に、本田も唖然。
・全身鎧姿で強烈なインパクトを残すキャラ・石頭鉄岩の初登場編。
・ラストコマで本田君の「うおおっ 突撃でござるっ」に応えた石頭のセリフ「ちがう 外国車の場合は鬼畜米英ーっ!」は、問題があるとされたのか、現在の版では「いざ!まいらん! いくぞ〜っ!」と改められています。(『「まいらん」と「いくぞ」は同じ意味なんですが…』By 両さんin82巻P59^^;)
《扉絵:中山競馬場に乱入して来た車(見開き・本編に直結)》
28-8「根暗世代の巻」
両さんが街で出会った青年は、生気を感じさせない ひたすら暗い男。衝動的に自殺をはかり、自分に不快な思いをさせた者に執拗なまでの復讐を繰り返す…。
・“ネクラ”“ネアカ”が流行語だった頃のエピソード。
・こち亀の登場人物は「人間味があって憎めない」と評される事が多いですが、このエピソードに登場する青年は そう言われる事を拒んでいるかのようです(苦笑)。小さな女の子の自転車をメチャクチャに壊すなど、読後感の悪い描写多し(^^;)。
《扉絵:銃を構える両さん(ラフ画風)》
28-9「ロックンロール教育!の巻」
少年犯罪の凶悪化・低年齢化に頭を悩ませる、部長と少年課の課長。紙芝居で子どもの情操教育をしようと試みるが、まるで相手にされず…。その様を見ていたのは、誰よりも子どもの心を理解する大人・両さん!
《扉絵:つっぱり大将》
28-10「大スキー!!の巻」
雪山へスキーに出かけた派出所メンバー。寝坊した両さんも、本田のバイクに送られて何とか合流するが、やはり
いつものマイペースぶりで騒動を起こし続ける。
《扉絵:麗子・中川・両さん・本田、スキー場にて(見開き)》
29巻 【JCリスト】 【WJ本誌での作者コメント】 【Amazon】 |
29-1「山は友だち!?の巻」
(前話より続き)張り切ってスキーで滑りまくる両さん。一方本田は、なかなか上達せず転んでばかり。業を煮やした両さんは、レクチャーしてやろうと本田を引っ張って山へ登るが…。
・初期の名レギュラーキャラ・犬が、遭難した両さん達を助けるため活躍。しかし同時に、これが最後の本格登場でもあります(この後、30-9扉と39-6・143-7・155-1で それぞれ1〜2コマのみ登場)。
《扉絵:派出所メンバー、4WDで疾走》
29-2「寺井家訪問の巻」
寺井が、ついに家を購入。非番の日に訪ねて行く部長&両さんだが、とんでもない僻地の上、坪500円の怪しい物件。訝しがる一同のもとに現れた税務署の職員らによって、次々と怪しい事実が明らかに…。
・16-9に続いての寺井さんのマイホーム話。名物キャラ・インチキ不動産屋の羽生は登場しませんが、セリフによると、インチキがバレて逮捕されたらしいです(^^;)。
・ラストでは何と、家の庭から石油が。しかし この後も寺井さんの生活ぶりが変わった様子は無く、所有権は得られなかったようですね。
《扉絵:両さん・麗子・中川・本田、ホバークラフトで進撃》
29-3「クレイジータンク!の巻」
両さんの競馬仲間が、米軍払い下げの戦車で訪ねて来た。成り行きで、一人で戦車を操縦し街へ出てしまう両さん。途中で銀行強盗の現場に遭遇し、遠慮ゼロの犯人追跡開始!
・両さんが主砲をぶっぱなすたびに口にしているセリフ「かいかーん(快感)」は、当時公開されて人気を呼んだ映画「セーラー服と機関銃」(薬師丸ひろ子主演)から生まれた流行語です。
《扉絵:戦車に乗る両さん・麗子・中川》
29-4「ヤングタウン!の巻」
原宿で喫茶店を経営する大原部長の知人が、4日間
店を空ける事に。留守番を頼まれた部長は、一人では心細いからと両さんに助っ人を頼む。が、若者文化がまるで理解できない二人は…。
・当時(1982年)の原宿は、“竹の子族”全盛の若者の街。中年世代(私も含め)が読むと、描写に懐かしさを感じます。
《扉絵:両さん&ベシとBMWイセッタ300('62年式)》
29-5「タノシー・ドライバーの巻」
街で変わり種のタクシーに出会ったのをきっかけに、タクシー会社を訪ねた両さん。かわら屋根の純和風タクシーや、超豪華なロールスロイスタクシーなど、個性的なタクシーを作り続ける社長と会う。
《扉絵:両さん、自動車プラモ製作中(本編に直結)》
29-6「五式物語の巻」
自動車のレストア工場を営む初老の男・北原。彼は、整備兵として働いていた戦争中に
自らの整備ミスで墜落した五式戦闘機を復元し、パイロットの青年を供養しようとしていた…。
・じっくり読んでほしい、シブいエピソードです。当時(1982年)は戦後37年。現在に比べ、まだ戦争の記憶も社会全体から消え去ってはいませんでした。
《扉絵:レストア工場を訪れる中川(本編に直結)》
29-7「少年忍者 田中くんの巻」
うだつの上がらないサラリーマン・田中一朗。会社や家庭でのストレスに悩まされる彼は、子どもの頃
好きだった正義のヒーローと自分を、いつしか重ね合わせるようになる。自作のコスチュームとバイクで街へ出た田中は…。
・1982年のエピソードですが、田中氏の心情は かなり21世紀の現在的に思えます。
《扉絵:昔の雑誌を懐かしく読む両さん(本編に直結)》
29-8「洋子の春!の巻」
久々に両さんの前に現れたタバコ屋の洋子ちゃんは、なんと葛飾署の婦警になっていた。洋子の先輩・小野小町を含めた三人でミニパトに乗り街へ出た両さんは、相変わらず遠慮のないやり方で違反者を懲らしめる。
・初代ヒロイン・佐々木洋子ちゃん、念願かない 婦警となって登場。ラストでは、婦警になった動機(両さんに憧れて)を語り、部長を心配させています(笑)。
・このエピソードにのみ登場している、洋子ちゃんの先輩・小野小町巡査。TVアニメ版こち亀(1996〜2004年レギュラー放送)のオリジナルキャラ・小町の(名前の)元になったと思われますが、婦警であるという事以外、キャラクターは全く違います。
《扉絵:両さんの写真と愛銃、百円札》
29-9「ハローグッバイ!の巻
前編」
両さんがアメリカで知り合った友人・サンディが、日本研修のため葛飾署を訪れた。案内役を引き受けた両さんは、浅草の実家にサンディを招き、親身に世話をする。一方「交機の代表として」(?)サンディのボディガードを買って出る本田。
・27-3・27-4に登場したサンディが再登場。
・冒頭では、28-2に続いて両さんが少女漫画を異様に毛嫌いする様が描かれています。当時の秋本先生は少女漫画が嫌いだったのでしょうか?
だとすると、後の変化が非常に感慨深いですね(笑)。
・タイトルは、柏原芳恵(当時・よしえ)の歌ったヒット曲「ハロー・グッバイ」(1981年発売)からと思われます。
《扉絵:漫画キャラクター・杉雄&綾(本編に直結)》
29-10「ハローグッバイ!の巻
後編」
(前話より続き)順調に研修を続けるサンディ。美しい容姿と抜群のバイクテクニックを持つ彼女は、葛飾署員たちにも大人気だ。一方、サンディへの想いを自覚しつつも一歩踏み切れない本田は、両さんに相談をもちかける…。
・ラストの余韻が素敵です。
・7ページ目(コミックスP183)には、秋本先生の別作品「白バイファイター 夢之丞変化」の主人公・島夢之丞が1コマ登場しています。
《扉絵:両さんの実家の台所で寝る両さん・本田・銀次(本編に直結)》
30巻 【JCリスト】 【WJ本誌での作者コメント】 【Amazon】 |
30-1「遊(ユー)ボートの巻」
中川の祖父がコレクションしている潜水艦を使い、海を舞台にして
超スケールの“かくれんぼ”をすることに。艦長・山本三十六と共に出発した両さんだが、酒を飲んでテンションの上がった二人は…。
《扉絵:サイドカー付きバイクに乗る中川&両さん》
30-2「ガッツ!南海出通!!の巻」
バイクの限定解除試験を受け続ける青年・南海出通(なんかいで・とおる)。だが、理論を重視しすぎる性格と少しズレた感覚のため、15回目の試験も失敗…。バイクのプロ・本田から教えを乞う事となる。
《扉絵:両さん&バイク(SUZUKI KATANA)》
30-3「両津コレクション!の巻」
下町でオモチャ屋をしているお婆さんの家で、引っ越しを手伝う事になった両さん。通行人に無理矢理手伝わせるなどして何とか終わらせ、お礼にと古いオモチャを沢山もらって帰る。ミニカーで子どものように遊んでいたが、それを見た中川が…。
・後に増える、コレクション・マニア話の前身ですね。古いオモチャにプレミアが付いて…というのは、当時は新鮮な感覚だったのではないでしょうか。
《扉絵:車に乗る両さん・中川・麗子(俯瞰構図)》
30-4「びっくりカメラ!の巻」
テレビバラエティー番組「びっくりカメラ」のスタッフが部長を訪ねて来た。ニセの小判で両さんを騙し、反応を見ようという企画なのだ。早速撮影が開始されるが、途中で本物の小判とニセ小判が入れ替わってしまい…。
《扉絵:着物姿麗子・バイク(カタナGSX750)に乗る中川・日光浴両さん》
・本誌掲載時は冒頭にもう一枚扉絵(+2コマ)があり、後ろ姿のキャラクター達や派出所が描かれていました(「この人は誰でしょう?」クイズも有)。面白い試みだったのですが、残念ながらコミックスではページごと丸々カット。
30-5「リサイクリング!の巻」
先週壊れた自転車を、手際良く修理する両さん。部長から「署にも
いらない自転車が たくさんあったぞ」と聞かされ 修理して売ってやろうと奮起するが、予想以上に時間と手間がかかり悪戦苦闘。根をつめ過ぎた両さんは…。
《扉絵:両さん、銃を構えて疾走》
30-6「親子水いらず!?の巻」
道を尋ねに来た人を拳銃で追い返すなど、相変わらずメチャクチャな勤務の両さん。そこへ訪ねて来た同僚・家住(いえずみ)のマイホームを訪問する事になるが、土地代節約のため家住が選んだマイホームの場所は…。
・最初(扉除く)のページは、まるまる第1話の1ページ目と同じ構成。この頃のこち亀(30-9など)は、長期連載となった事で“過去を振り返る”展開が多いですね。
《扉絵:リアルタッチ両さん》
30-7「さぼりゲームの巻」
相変わらず仕事をやる気がなく、ゲームセンターでさぼる両さん。連れ帰りに来た中川と一緒に、ホットロッドの前田が運転するタクシーに乗るが、途中で中川を放り出し更に逃走!
《扉絵:アメ車でキメる両さん》
30-8「シンプルライフの巻」
あまりの暑さに、制服をハサミで切り刻んでしまった両さん。警官の評判を落としたくない部長からバッジや警察手帳・装備を取り上げられ、見た目はただのホームレス…。そんな両さんが出会ったのは、廃棄物を集め、ゴミの埋め立て地で生活する変わった人々だった。
《扉絵:バイクに乗る両さん》
30-9「デビュー!の巻」
取材のため派出所を訪ねて来た、劇画家志望の青年。両さんのメチャクチャ&乱暴なアドバイスに自信を無くしかけるが、いつしか吹っ切れて、目先を変えたギャグ作品を描いてみようと思い立つ。
・作者・秋本治先生のデビューをメタフィクションで描いたエピソードです。本編中で両さんに破られる原稿は、秋本先生の初期作品「ベトナム戦記 平和への弾痕」(執筆時のタイトルは「ベトナム戦記 そして死が残った」)。
《扉絵:秋本キャラ大集合(見開き)》
・秋本先生が当時発表されていた作品の主要キャラが、見開き扉に勢ぞろいしています。以下に全員の名前を。
【後列・左から】
平賀幻覚/鈴音/京ノ介
(以上「新 元禄太平記」(同名単行本に収録)より)
玉丸喜人
(「酷道4000キロ」(単行本「新 元禄太平記」に収録)より)
大原大次郎/戸塚金次
(以上 こち亀より)
赤木明/山下力
(以上・「ライブ」(単行本「こちら人情民生課」に収録)より)
犬/寺井洋一/中川圭一/秋本麗子/本田速人
(以上 こち亀より)
島夢之丞
(「白バイファイター 夢之丞変化」(同名単行本に収録)より)
【車の中・左から】
金太郎
(「となりの金ちゃん」(単行本「平和への弾痕」に収録)より)
両津勘吉
(こち亀より)
【車の下・左から】
岩倉/原立造
(以上「デスマッチ」(単行本「こちら人情民生課」に収録)より)
30-10「建前パーティーの巻」
金欠で何も食べられず、フラフラの両さん…残り物でメチャクチャな料理(?)を作り、何とか復活。そんな所へやって来た部長は、家を新築する山本氏の建前を訪れるよう
両さんに言い付ける。
・3ページ目(コミックスP179)で両さんが聴いているレコードの曲は、所ジョージ氏のシングル曲(実在)「まったくやる気がございません」。
・4ページ目(コミックスP180)に、「今回 小林よしのり氏に手伝ってもらった所があります どこでしょう?」の文字。13ページ目(P189)右上のコマと思われます。
《扉絵:アメ車(プリンススカイライン スポーツコンバーティブル)と麗子》